浴衣の染め その1

いっしぃ

2007年08月02日 23:09

 浴衣の生地を扱っていて、ふと思ったことです。


 僕の扱う浴衣は、寝巻き浴衣です。そう、旅館で使われるアレです。どうしても外で着る本浴衣に比べて低く扱われるのですが、中々奥深く面白い浴衣でもあります。まぁ、個人的には、激安セット浴衣なんかよりは、国産寝巻き浴衣の方がよっぽど良い品だと思うのですが。



 浴衣と言えば、当然柄があります。柄が無かったら葬式の時の”白装束”になってしまいます。

 浴衣の生地に柄をつけるためには、大きく二つの方法があります。(染め方は、また今度。)
  ①ナフトール染料を使う。
  ②顔料プリントを使う。



 浴衣(寝巻き浴衣)の基本的な使い方
お風呂から出てきて、浴衣を着て、まずはビール。思ったより風情のある旅館だなぁ。風呂も大きくてきれいだし。仕事を片付けるのに、少し無理したけど、来て良かったなあ。・・・・と、まあ湯上りに着るのが一般的で、そのまま布団で寝てしまう、なんてところでしょう。


 基本的に求められる性能は、丈夫さ、色が他に写らないこと。しかも着ている人の体が、高温で、湯気なんか出ていて、さらに湿っている状態で。






 耐久性、経済性でまず広がったのが、ナフトール染料を使った染め方です。

 染料は生地の奥深くまで浸透するので、大変丈夫です。しかし染めた後、酢酸を吹き付け発色するため、なかなか思ったような色が出ません。さらに化学変化で発色=化学薬品に弱い、ということで使われる漂白剤によっては、変色してしまいます。



 顔料プリントとは、簡単に言うとペンキを塗ったようなものです。生地に浸透せず、表面のみに顔料が留まります。なので濡れた状態での摩擦に弱く、すぐ色がハゲてしまいます。しかも顔料自体が高価。しかし乗せたい色をそのまま使える、色を乗せているだけだから、化学薬品に強い、という特色があります。



 
 染料浴衣                   顔料浴衣




 さて理想は、と言うと染料の耐久性を持つ顔料、となります。化学薬品にも当然強いし、濡れていても摩擦に強い、もう一つ言えば安いならこしたことは無し。



 で、出てきたのが、大日本インキの考え出した「ディクセルプリント」と呼ばれるプリントです。

 このディクセルプリントは、値段意外は先に挙げた”理想”にあてはまるプリントなのです。但し、欠点は高価なところ・・・。しかし使っているお客様のクレームを考えると、多少高価かもしれないけど使う価値のある方法なのです。


 間違い易い点。
 ディクセルプリントとは、そうゆう名前の顔料を使えば良いのではなく、勿論専用の顔料も使うのですが、先の処理、後の処理も決められた専門の方法で行われて初めてディクセルプリントとなります。共産圏への化学薬品の輸出は、非常に厳しいものがあるのですが、そのため中国ではディクセルプリントはできません。時々中国製ディクセル染め、なんて表示を見かけるのですが、もう大笑い!







 さて、浜松製の顔料プリント浴衣は、というと間違いなく”ディクセルプリント”です。
 しかも大日本インキお墨付き。(認定済み)

 安心して、使える生地なのです。







 寝巻き浴衣の良いところ、
 家庭用洗濯機で洗える、というのも、このディクセルプリントのお陰だったりします。


 続く・・・・・・・・かな?

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