浴衣の染め その2
おかげさまで、注文をこなすことで精一杯。今年は花火を見ていません。浴衣の女の子を横目で見ながら、うーん、色は良いけどデザインが安っぽいなぁ、とか若いのにいい浴衣着てるなあ、とか完全に業者視線。ふんっ、悲しくないもん。
本浴衣と寝巻き浴衣の柄の違いは、そのまんま染めの違いになります。っていうか、基本的に使われる場所の違いなんですが。
本浴衣→個人が所有。一品物。高価。
寝巻き浴衣→業者が所有。大量生産。安価。
本浴衣:
身ごろ、袖、などそれぞれの部品ごとに型を作り、それぞれで染める。デザインの自由度の高い、何色も使った物ができる。(だって高くても売れるし。)
寝巻き浴衣:
先にプリントされた生地から、身ごろ、そで、などの部品を切り出す。どこにどの柄が出るか指定できない。デザインの自由度が低い。またプリントの機械にもよるが、使える色が限られる。(多くて3色まで)。(安くしないと売れないし。)
同じ浴衣といえども、全然違う「本浴衣」と「寝巻き浴衣」。
ところが着た時の雰囲気は、同じようなものを求められたりします。
で、ここからが知恵の出しどころ。
寝巻き浴衣のデザインの基本は、ローラーで染めるため、上の柄と下の柄が一致しないといけません。また、ローラーの送り以上のデザインは、物理的に無理です。
浴衣の生地は、小巾、二巾、三巾の三種類。それぞれで裁断の仕方が違います。
以上の事を踏まえて、デザインを考えます。
ランダムに花を散らせたいなら小巾にプリントすると、思いもよらない処に柄が出てきて面白い、とか
縦線を基調としてきちっとした柄にするなら、二巾にすると思い通りの柄になりやすい、とか
大きく柄を出したい時は、二巾か三巾にする、とか
目的によって色々な組み合わせを考えて行きます。
もちろん柄によっては、染めムラが出やすいものなどもあり、マイナス面も考えなくてはいけません。
制約が色々とあるため、かえって面白い柄ができるのではないか、といつも思ったりします。
勿論、プリントの寝巻き浴衣の生産も浜松が日本一。
染工場って意外と近くにあったりするんですよ。
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